MUSUPERUHEIMU

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プロローグ(弾丸)

『HIVE』

SEEDに侵食されたAフォトン衛星内は・・・ガーディアンズ・・・GRMの研究員・・・
・・・そしてSEEDフォームの死体で埋め尽くされている・・・

・・・カッ・・・カッ・・・カッ・・・カッ・・・

生命を感じられないその風景の中を一体のキャストが闊歩していた

 「う・・・うぅ・・」

・・・カッ!

死屍累々の山から零れたうめき声にキャストは歩みを止め

・・・カッ・・・

声が聞こえた方向へと向きを変えると

 「おい」

キャストは声の主に話しかけた

 「・・・キャスト・・・軍人か・・・?」

傷ついた身体を少しだけ起こし声の主・・・GRMの研究員の格好をした男が答える

 「…まぁそうだ、何があった?」

 「同僚が・・・突然SEEDフォーム化して護衛のガーディアンや我々を襲い始めたんだ」

 「SEEDフォーム……この辺に転がってるバケモンどもか」

 「・・・あぁ・・・」

キャストは周りを見渡すと異形の骸に視線を向ける

 「似てやがる…」

 「ん?・・・なんか言ったか?」

 「いや…」

キャストは再び研究員の男に視線を戻した

 「それでどうする?」

 「・・・え?」

キャストの男を見下ろす赤と蒼の視線が殺伐とした光を孕む

 「お前はもう助からない」

 「なっ・・・何を言ってるんだ・・・?私の怪我はそんなに酷いのか?」

 「失血死するより先にお前はこいつらのお仲間になる」

キャストは立てた親指を横に向け異形の骸を指した

 「ほ・・・本当か?何故解る?」

 「…胸くそ悪いが奴らとは縁があってな」

そう言うとキャストは自分の左目の下にある傷を撫でる

 「解りたくなくとも解ってしまうのさ」

 「・・・そうか・・・」

 「やけに物分りがいいな」

 「ハハハ・・・変化した同僚の姿を見た時からおかしいとは思ってたんだ」

そう言った男の目の焦点が定まらず虚ろになっていく

 「何がおかしい」

 「そもそも人体にSEEDウィルスがこんなに早く進行する訳がないんだ
  人体には空気感染する可能性自体否定されていたのに・・・
  もしかしたらこの場所・・・HIVEだから異常なのかとも思ったが
  イルミナスの連中め私達の身体に細工を施したんだなッ!?」

 「イルミナス…」

研究員の言葉の中に出てきた名称をキャストは口の中で小さく呟く

 「家族を盾にこんなとこに送り込んだだけではなく実験台の捨て駒とはな!」

完全な虚ろになってしまった瞳で宙を仰ぎ男は怒りの言葉を叫ぶ

 「頃合だ」

・・・ガシャ

キャストは腰から銃を引き抜くと男に向け

 「人の身のまま仕舞いにさせてやるスよ」

容赦なく躊躇なく淀みなく引き金を引いた

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殺意の弾丸


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 「大尉殿、HIVE内の捜索完了致しました」

 「そうかご苦労だった、それで結果は?」

 「やはり活動しているSEEDフォームは皆無でした」

 「中央制御室のリアクターは?」

 「SEEDフォーム化まで進行してしまってたようですが・・・」

 「ダルク・ファキスまでも浄化済みか」

 「はい」

 「フム…現時点で危険が無い事は解った、他には?」

 「調査隊のシャトルが一機無くなっています」

 「調査隊の生き残りが撤退に使ったか?」

 「それがそのシャトルが帰還した記録がどの惑星にもGコロニーにも無いんです」

 「何処にも帰還してない?」

 「ええ・・・ですが」

 「なんだ?」

 「先程モトゥプに墜落したシャトルがあったそうです確認はまだとれてませんがもしかしたら」

 「それがここにあったシャトルと…」

 「おそらくは」

 「まぁそれはあとで確認するとしてそれだけか?」

 「あとこのようなものがHIVE内のあちこちに散らばっていたのですが」

 「…小さな…金属製の…筒?」


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